ブログ小説 「自分レター」

2008.06.07 Saturday 17:39
「最近、背中がまたさみしくなって ふりかえる」

という、ひとフレーズが、夕暮れも過ぎた部屋、正座をして置物になっていた私の
肩から背中の辺りを漂っていたので
はっと言葉を掴んだ。
よく見てみると、それは19歳の頃の私。

「久しぶりだね」

自分でも驚いたのだけど、私がそう話かけてきた。
空気を見るような顔で、現在のこの私は、
首だけ過去のほうを向いて

「またそんな気分なのかな」

と聞いてみた。

風のような気がした。時が無音で流れていて
私はなにも答えてくれなかった。

ふりかえると、背中がやっぱり空いていた。

現在、私は前が好きなんだ。
前には人もいる、花もある、見えるものがある。

目のうしろに鍵をかけていたのかもしれないな、と思ったら
急に目が疲れてきた。

広くはない、この部屋の
壁をずいぶん越えた、街を一周してきたみたいな
私の背中。

がくっとなって、26歳の自分が、ここで
しなっている。

せっかくだから

「ま いいんじゃない?」

私って感じで、空砲が胸に打たれたみたいで
そのまま行っちゃえば。

返事は知ってる
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