「韓国へ」その2  リポーター熊木

2006.01.24 Tuesday 09:45
カムサハムニダ(ありがとう)だけ覚えた私は、その日さっそくプザンの街でカムサハムニダな場面に遭遇するのです。夜だし、少し寒い状況でこれからロケということもあってトイレに行きたくなった私は、通訳のファンさんに懇願(笑)し、安全だぁーと言う、なにやら見た目とても安全とは思えないゲームセンターの前に案内され、ここでぇーと言われたのです。仕方なく、というかここしかないなら?と、きっぱり決意し、日本とあまり変わらないゲームセンターの風景の中、女子トイレに向いました。ドアを押し開けると、個室一個で、すぐ洗面所が真向かいにある狭いトイレ。女の人がガチャとその現場からちょうど出てきました。もちろん韓国の人ですよ。私は目が合ったので軽く会釈し、個室に入りました。さあここは外国、一応なんだか身の危険を感じ、早く鍵を…と思ったらガチャガチャ何度、鉄の棒を横にスライドさせようとしても、動いてくれへんのです?おぉぉおー?なんや鍵かからへんどうすんねん?とまだドアの向こうに、さっきの女の人が手を洗ったりしている気配を感じながら、ひたすら鍵棒をガチャガチャしてたら、グイっとドアを向こう側から引っ張られ、驚く間もなくさっきの女の人が顔をのぞかせたのです。するとその30代くらいの韓国の女の人が、韓国語で何かを言ってきたのです。うぅおーあっ…と何から答えるって言うにしても日本語では?と焦りながら、「あーあの私日本人でわからないんですが…」とやっぱり日本語でドアを挟んで応答すると、女の人は、あぁ韓国人じゃないのねと言ったような事を言い、それから身振り、手振りをしながら、鍵を指さし、首を横に振り、ここ?ここ?と足元をさした。どうやら「鍵はかからないから、おたくさんも心配だろうから私がドアの前に立ってあげるよ。さっさと安心してやりなさい」と言ってくれているらしい。(と理解した)私はもう、とにかく、早急に事を済ませたかったので、その女の人を信じよう?(本意は不明)と決断し、「オー?イエス?」と言って(なぜか英語)ドアを閉め、かろうじて閉じたまま鍵によって支えられもしていないドアを背に、私は初めての韓国で、言葉の通じない、独断信用の上に成り立っている、見張りと主人の関係に落ち着き、用を足したのであります。心の中でおばさんカムサハムニダァー(笑)と叫び(うそ)ドアを開けると、その女の人は、あぁ終わったね?と言うふうに笑ってくれました。あぁやっぱりそこで見ていてくれたんですね?よかったぁ…と感動し、韓国の人はやさしいなぁとたった一つのことで全ての韓国の人に好感を抱き、ここだ?ここで使うんだ?勇気を出して?さぁー?と自分に言って、ようやくここで初めての?「カムサハムニダー」が出たわけです。女の人は、あらっ?と言った感じで笑顔で去って行かれました。ありがとう…それは、世界共通に人が人に思うことで、礼儀なわけだ。私は、「言葉」ということが、どれだけ人と人を近づけることにおいて、必須なことかを改めて思ったわけです。通じるって素晴らしいよ…よかったよ…トイレできて……ふ…。  熊木杏里
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