「韓国へ」その10  リポーター熊木

2006.04.23 Sunday 19:14
 動物園を抜け出して、いよいよ私は寝よう!というところまでやってきました。
 部屋に戻ると、まぁキムチな匂い。そうそう、スリッパ左右違うね!これぞ私の部屋であるような気すらする。ふふ…。
 なんだかちょっとハイになってきた私は、ベルサイユ風のドレッサーの前で自分を眺める。ここは韓国…。あぁ日本に帰りたい…。ハイじゃないじゃん…。静まりかえった部屋。私はどうも清潔にうるさいらしい…。韓国に来てからの自分を振り返ってみると多々見られた傾向であるな。そんなことを思いながらも、洋服などもいっさい床には置けず、本来なら心を休めるはずのベットにさえも、不信感をつのらせ、転校生のように心を許せないで荷物の整理をしながら、あと何日韓国だっけ…と考えました。あと3日くらいかな…くらいってどういうことやねん…。
 落ち着かないので何かをしようとして、はっとする。テレビがあるじゃん…。家でもテレビの前だけではアホ面になる私。(ほんとはいつもそう見られているかもしれないけど?)プチっとテレビをつける。うん。そうだそうだ。アニョハセヨ〜!テレビだって急に日本語は話せないよ。はぁ。韓国語の意味なんて、英語よりわからん。しかしこうして言葉を抜きにして絵だけ見ていると、なにも日本と変わらないですね。車のCMもドリカムじゃないだけで、おしゃれだし、シャンプーのCMのお姉さんは美人だし。おかしい気がしてしまうのは、このカンウォンドに、そういう片鱗が一ミリもないからなだけで、世の中はそう変わらないのかもしれないよ。ふ。語るね。今日の私。
 そうだ、今日ここに来る途中、町はもう寂れきっていたにもかかわらず、とある一軒に、スカパーのアンテナのようなものがついていたのを私は見た!お金持ちの家なのかな!電気はきてるんだ…。携帯電話は普及してるのかな…などと、えらく失礼なことを山ほど思ってしまった町なので、そこでいわゆる電子器具のアンテナは意外だったわけです。
 そんなこんなで、持参したジャージを着て、まるでベットに潜む魔物のようにジィーーーっとしながら、テレビを眺める。しばらくすると、韓国語がだんだん金属音のような気がしてきたのです。眠気をどんどん削いでいきながら、それでいて、不快感を感じさせる、お昼も夜も関係なさそうなテンションで、刺激する。だめだ…。ベット魔物のまま発狂しそう。 
 いよいよ韓国語フィーバーに耐えられなくなったので、チャンネルを変えてみた。CNNだ。これだ。もはや韓国がだめならアメリカだ。(若干誤解を生む表現だなと認識あり)ああ。だけど、なんて耳にやさしいエ、イ、ゴ。日本にいたら間違いなく見ないのに、今はとっても好きだよCNN。なんとか眠れそうさ。
 そうして韓国で英語を聞きながら魔物は肩を凝らせながら眠ったそうな…。
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「韓国へ」その9  リポーター熊木

2006.04.11 Tuesday 13:17
 さぁさぁ大浴場というのはどんな具合か…!韓国で裸の付き合い!さっそく地下に降りてみる。キムチを何年もつけこんだような床の絨毯の匂いにもだいぶ慣れて、すたこらと階段を下ると、あれ…急にゴザが敷いてあるよ。ゴザ…?ここがお風呂の入り口前のロビーか…。
 ふと見ると私のマネージャー… ゲームやってるし。
『なにしてんすか…』
『いやぁ〜…なんかここ古いゲームが置いてあるよ』
 しどろもどろにならなくても…。確かにそれはもう何年も前に日本じゃ更新されて使われなくなったような様子のゲーム機。車のレース系の見た目。なんだかは詳しく寄っては見なかったのでわかりませんが、奇妙キテレツ、ゴザの上にもゲーム。あぁここで新たな難問が…。人の足裏の垢でうっすら黒みがかったゴザの上を、しかもちょっと湿っている面構えのゴザのその上を!裸足で歩かなくてはいけないのか!またしてもヨレヨレで端っこはクルンとなってこっちに向かってきているし…。いやだ…。
『ここは土足じゃだめなんすかね』
『一応みんな靴脱いでありますからね』
 厳しいじゃぁないかマネージャー。見るときっちり靴が並んでおります。むぅ。手強い。というか足強い。仕方ない。さっと脱いで靴下のまま女湯に逃げ込むのだ。
『じゃ、いってきます』
 靴を脱いで、キぃと扉を開けるとああぁ。よかった。なんか見覚えのある浴場。木で編み込まれた床。木のロッカー。意外と広い脱衣所。プウ〜ンと香るお湯の気配。
おばちゃんたち。いたいた!何が…。いややっぱりせっかくだから韓国の人たちと共にお風呂入ってみたいじゃないねぇ。
『ぺらぺ〜りスミダぺらぺらり』
 私は韓国語は、鹿児島弁を聞いているのと同じだとこの時悟る。怒ってるみたいに聞こえる。話口調、声のトーンが。そして空気を引き破るさいのおかまいなし加減が…。(バカにしているわけではありません)どうやらおばちゃんが何人も集まると、にぎやかになるのは日本も韓国も一緒のようです。4、5人のおばちゃんは一斉に私を見て、珍しそうにしてから再びおしゃべりをはじめました。なんだよぅ。私が日本人だってわかったのかい?あんたたちのほうが私からしたらよっぽど物珍しい。一体、そのおなかにはなにが入っていらっしゃるのシャルウィダンス?今からお風呂に入るつもりか上がるつもりかさえ…それよりお風呂だ。
 せっせと脱衣しガラッと戸を開ける。ガラスの向こうは湯の世界。暗い!辛気くさい!なんで明かりがこれしか点いてないのだ!奥に進むと何人かのおばちゃんがちりばめられた、その浴場は、かなり広く、3、4列のシャワー場が並び、タイルでできた…まるでプールのように壁沿いに掘られた殺風景なお風呂がひとつと、真ん中に丸いお風呂、そしてなぜかお湯が張られていない干涸びた浴槽。え…。なんかブ、キ、ミ。そこの空気が、行ったことはないけれど死体洗い場…のような生々しい残響に置かれている気がしました。人が使ったりしていると、どこかあったかい空気がするはずだと思うのですが、このホテルって一体…。
 さてと私は江戸川コナンでもあるまいし推理風に突っ立っていても仕方ないがないのでさっと体を流して、韓国語が浸かっているお湯に入りにゆこう!るるるん!まずは壁沿いのお風呂から!と思ったら水風呂だぁ。やめやめ。ん?と、いうことは真ん中の丸風呂だけか…ちょっと残念。ではいざ!丸風呂なだけに丸く太られたおばちゃんででで〜ん!私も負けじとザザ〜ン!とはいかず、静々…。うう〜ん。気持ちいい湯加減。韓国産のお湯!しーーーーーーん。おお?さっきまでうるさかった人たちは…どこへ?再度日本対韓国。しーーーん。…き…気まずい。ちょいと足を伸ばせばこのおっきいおばちゃんに触れ合ってしまいそうだ。今この丸風呂には私とおばちゃんの二人きり…。
 ふと目を横にやると、向こうの水風呂にまるで波に打ち上げられたオットセイのような姿で、腰掛けるおばちゃんが…。まずい笑いそうだ。我慢だよ。ここで笑ったらただの奇怪な日本人だ。ふぅ〜。リラ〜ックス。肩までつかる。目の前ではおばちゃんが大きな胸を隠すことなく腰から上をひけらかし止まっている…。入浴中のぶたさん…。
はっ!やばい!ここまで想像を絶してしまっては後戻りがきかん!ここは動物園ではない!私は笑いたくない!逃げよう!あやうかった…。
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「韓国へ」その8  リポーター熊木

2006.04.03 Monday 20:45
 韓国の伝統的な歌を一緒に歌う?そんな異文化交流を、社長は私に経験して欲しいと思ってくれたのでしょう。言葉もわからないのに、いい感じにお酒が入り、酔っぱらいかけたおじさんたちに、どう出るのだ私…。(ついでに私もちょい酔っぱらい)社長たちが見守る中、通訳のファンさんについてきてもらい、いざ交渉。『ぺらぺ〜ら〜』あるおじさんに話しかけるファンさん。  
 熊木的日本語訳『私たちは日本から来ているのですが、韓国のことをもっと知るために、どなたか韓国に伝わる伝統的な歌を歌ってはもらえませんか?』
 驚き笑い出す周りで話を聞いていた、オレンジおばさん、畑仕事風おじさん、ショッキングピンクお母さんら。(韓国7より)ひたすら首をふるおじさん。するとおばさんが、ある一人の畑仕事風のおじさんを指さし、
『ぺらぺ〜ら』。
すると周りからも
『おおお!ぺらぺ〜ら』…なにがなんだかさっぱりわからず、食堂が騒然とする中、ファンさんがやっと私に
『あのおじさんが一番歌がうまいってみんな言ってる』とその畑仕事風おじさんを指さし教えてくれました。しかしその畑おじさん(略して)は、下を向き、まじめそうな雰囲気で首と手を横にふっていました。こちら側ではスタッフさんが小型カメラをまわしていたので、私は、記念におじさんが歌を歌ってくれたらいいなと思い始め、やんや盛り上がっている中、ファンさんに
『どうしてもあなたの歌が聞きたいからちょっとだけでも歌って欲しい!』と訴え、畑おじさんに熱烈コールしてもらいました。
『ぺらぺ〜ら』
 するとおもむろに畑おじさん立ち上がり、前に出て来てくれて、歌い始めてくれました!おおお!会場からは(食堂)手拍子が起き、私も一緒に手を叩きました。嬉しい!言葉はわからないけど、味のある歌声で、ピアノもマイクもない、ただ、飲みの最中だったのに、気持ちが籠っていて、韓国で暮らすこういう人たちの毎日を、かいま見たような気になりました。どことなく寂しい気がする歌でした。でもみな一緒に口ずさんで、楽しげでした。社長が私に
『歌ってもらえてよかったな!』と言いました。私は、人に歌ってくれなんて頼んでおきながら、自分の歌をピアノもマイクもないところで歌うということを悩みます。たまに初対面の人に、
『歌手なら、ちょっとアカペラで歌ってみてよ』と言われますがその時私は言います。CDを聞いてみてください。私は一番伝わるようにしたいだけです。でもあんまりしつこく言われると悔しくなってきていっそここで立ち上がって歌ってみようかと、思うこともあります。だからこの時も歌っていいなぁと思ったけれど、私はこのおじさんとは違うと思い、自ら歌うことはしませんでした。歌手だとも名乗りませんでした。
 宴の時間は過ぎ、みなさんにお礼を言い、私たちは食堂を出ました。みな気さくにファンさんや私たちに笑顔を向けてくれました。
 さて、廊下では、どうやら地下に大浴場があるとかで盛り上がっていました。日本人は風呂でしょう!わけのわからないノリで私は韓国で初めての大浴場に入りに行くことを決めました。
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