「韓国へ」その13  リポーター熊木

2006.06.13 Tuesday 18:00
 ショッキングピンクの若者が多い。ファッションビルの目の前に作られた特設ステージの横から私は思いました。はやりかな…。時間は夕暮れ。リハーサルを終えてライブまでに時間がまだ少しあったので、近くのオープンテラスでコーヒーでも飲もうと私は歩きました。ステージの前のベンチに腰かけている人、ただ待ち合わせのように立っている人、通りすぎてゆく人、様々な人がいて、私は言葉の通じない歌を歌う。小さなテレビ画面に一応歌詞を映してもらうことにはなっていますが、多くの人は見えないでしょう。不思議な気持ちになりながら、でもあまりいつもと感じは変わらないなと思いました。何が違っても人であることに違いはないので、韓国の人になんだかいいなーと感じてもらえればいい。そう思っていました。
 さあコーヒーコーヒー!と意気込んでいたら、後ろからスタッフSさんがやってきたので一緒に向かいました。天気はなんとなく晴れ。オープンテラスはそれでもけっこう人がいて、コーヒーをSさんにまかせて、先に席を探しにきた私でしたがどうしようか。こ、、言葉が欲しい。例えばあの2個ぽつんとあぶれている椅子は空いているのか…。否か。すでにその隣で、おそらく私のように、一緒に来た人が、コーヒーを買い持って来てくれるのを待っているおばさまの支配下にある椅子なのか!なんとかSさんが来る前には席を確保していたい使命感でいっぱいの私は、そのおばさまに近づきました。ふと見ると隣のテーブルの椅子もひとつ空いている!すかさず私はその椅子に手をかけ、その流れでおばさまのほうを凝視。すると眼力でか、そのおばさまがエスパーなのか、くるっと振り返ってくれました。ちょっとびっくりした私は、なにかとらわれの姫を、怪獣の巣へ救いに来た勇者のような立ち向かい系の気分になり、とらわれの椅子のひとつを指さし、無言のまま手でオーケー?オーケー?とジェスチャーしてみました。すると向こうもジェスチャーでオーケー!としてくれたので、声のない交渉が成立したのでした。ふぅと息をつくとSさんがコーヒーふたつ持って帰ってきました。どうもありがとうと話をしていると、続いてそのおばさまの待ち人あらわる。コーヒーふたつかかえたおばさま2。あぁやっぱり連れを待っていたんだと見ていたら、『はー!疲れたねー』っておばさま2は座ったとたんに言いましたとさ。日本昔話。えぇ!日本人だったのぉ?!その驚きと勢いで私とSさんはほぼ同タイミングで、おばさまたちに『日本人ですか!』おばさまたちも笑いながら『えぇ!やだぁそうだったのぉ?』私は韓国でも日本人はわかるよ!と思い込んでいたためにショックでした。おばさまが『やだ全然わからなかったわ!』と言うので、私も絶対韓国の人だと思っていたと話しました。
 日本人に会えた嬉しさで私とSさんは引き続き話し込む。『どうして韓国に来られたんですか?』おばさまに訪ねる。すると思わぬ、いやこれが!なのかわかりませんが、韓流スターに恋こがれ、映画のロケ地などを巡るツアー!参加者の方だったのです。いやぁ…まさかこんなところでお目にかかれるとは…。すごいですね!と私&Sさん。今度は、あなたたちはなぜ韓国に?と聞かれたので、今からそこのステージで歌うんです。と言うと驚いていましたが、ぜひ聴いて行ってくださいと言うと、ツアーのバスがもう迎えにくると……。キラキラしていました…。私はそれは残念ですけど、また日本で、と言って自分の名前を名乗り、応援してください!と言いました。その時片方のおばさまが『東京でしかやってないの?私ね長野に住んでるから…』と言いました。私は話途中で『ええぇ!私も長野生まれです!』『ええどこ?!』『更埴市です!今は合併で千曲市です!』……おばさまは確か諏訪と言っていたような気がしますが忘れてしまいました。おばさまたちは絶対応援するわ!日本に帰ったら調べてみるわ!と檄を飛ばしてくれて、そのまま去っていかれました。偶然ってすごいな…と思いながら、ふたりがツアーバスにウキウキしながら乗り込む姿を想像したらなんだかおかしくなって、地球ってせまいのかな……。疑惑……。日が沈みかけ、電話が鳴ったので私とSさんはコーヒーの終わったカップを捨て、ステージのほうへ向かいました。
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