「韓国へ」その14  リポーター熊木

2006.07.03 Monday 20:40
 私と吉俣良さんがステージに乗ると、拍手があって嬉しかったです。
 夕暮れ時のステージからは、韓国のみなさん。デパートに入ってゆく人、出てゆく人の向こうには、屋台のにぎわい……。本当に何度も思うことですが、渋谷のド真ん中に、畑で大根育てている感じ…。おもしろい。
 私は前日に、韓国で働く日本人の方に、韓国語であいさつをしたい(ライブで)からと頼み、少々、教えてもらいました。ステージの上には私と吉俣さんだけ。わくわくしながらもある種の恐怖がなぜか湧き…。案の定…。はっ!メモがない…。昨夜、あいさつを暗記しておいたはずでしたが、ライブ成立条約として吉俣さんと挨拶を書いたメモは必須だったはず…。マズイ…。ステージの上でとっちらかって、マイクを持ちながら、あたふたしていたら、吉俣さんにその事がバレでしまったのか、「なにしてんだ!!」という顔つき…。私は「ええい!!」もう、頼るべきはこの脳ひとつ。妙な汗とともに、昨日頭に詰め込んだ得も知れぬ言葉たちをひっくり返しながら「私の頭の中の韓国語」……笑。
「アニョハセヨ。クマキアンリ ラゴハムニダ。イルボネソ ワットン スムルセサル イン〜」
 冒頭はこのようだった気がします。今はもう忘れてしまいましたが、ライブでは「こんにちは、熊木杏里です。日本から来ました。シンガーソングライターで。韓国で歌うことができて、うれしいです。聴いて下さい」とあいさつをしました。(注:その時は韓国語です)
 嬉しかったのは、その暗記していた姿に、好感を持ってもらえたのか、集まってくれた韓国の人たちから「お〜!!」とか「ヒュ〜!!」とか声が飛んで、またも拍手をもらいました。とっても嬉しくて、ああ…メモ…なくてよかった…と思ったものです。
 一曲目は3年B組金八先生パート7の挿入歌「私をたどる物語」を歌いました。遠くの方まで、ビルや屋台の先の先まで聴こえてくれていたらいいな、と思い歌いました。歌いながら、見ていると、韓国の人はちゃんと耳をこらして聴いてくれているようでした。歌いおわると「ヒュ〜!!」とか「イエ〜!!」とか声が飛び、拍手を頂きました。日本でもライブで「私をたどる物語」を歌って、「ヒュ〜」とか「イェ〜」とか言われたことがありません。
「しーん」+拍手が私のライブで常だけはと思っていたので、とても新鮮でした。おじぎをして「カムサハムシダ!!」だけ言い、MCのないライブは続きます;。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その13  リポーター熊木

2006.06.13 Tuesday 18:00
 ショッキングピンクの若者が多い。ファッションビルの目の前に作られた特設ステージの横から私は思いました。はやりかな…。時間は夕暮れ。リハーサルを終えてライブまでに時間がまだ少しあったので、近くのオープンテラスでコーヒーでも飲もうと私は歩きました。ステージの前のベンチに腰かけている人、ただ待ち合わせのように立っている人、通りすぎてゆく人、様々な人がいて、私は言葉の通じない歌を歌う。小さなテレビ画面に一応歌詞を映してもらうことにはなっていますが、多くの人は見えないでしょう。不思議な気持ちになりながら、でもあまりいつもと感じは変わらないなと思いました。何が違っても人であることに違いはないので、韓国の人になんだかいいなーと感じてもらえればいい。そう思っていました。
 さあコーヒーコーヒー!と意気込んでいたら、後ろからスタッフSさんがやってきたので一緒に向かいました。天気はなんとなく晴れ。オープンテラスはそれでもけっこう人がいて、コーヒーをSさんにまかせて、先に席を探しにきた私でしたがどうしようか。こ、、言葉が欲しい。例えばあの2個ぽつんとあぶれている椅子は空いているのか…。否か。すでにその隣で、おそらく私のように、一緒に来た人が、コーヒーを買い持って来てくれるのを待っているおばさまの支配下にある椅子なのか!なんとかSさんが来る前には席を確保していたい使命感でいっぱいの私は、そのおばさまに近づきました。ふと見ると隣のテーブルの椅子もひとつ空いている!すかさず私はその椅子に手をかけ、その流れでおばさまのほうを凝視。すると眼力でか、そのおばさまがエスパーなのか、くるっと振り返ってくれました。ちょっとびっくりした私は、なにかとらわれの姫を、怪獣の巣へ救いに来た勇者のような立ち向かい系の気分になり、とらわれの椅子のひとつを指さし、無言のまま手でオーケー?オーケー?とジェスチャーしてみました。すると向こうもジェスチャーでオーケー!としてくれたので、声のない交渉が成立したのでした。ふぅと息をつくとSさんがコーヒーふたつ持って帰ってきました。どうもありがとうと話をしていると、続いてそのおばさまの待ち人あらわる。コーヒーふたつかかえたおばさま2。あぁやっぱり連れを待っていたんだと見ていたら、『はー!疲れたねー』っておばさま2は座ったとたんに言いましたとさ。日本昔話。えぇ!日本人だったのぉ?!その驚きと勢いで私とSさんはほぼ同タイミングで、おばさまたちに『日本人ですか!』おばさまたちも笑いながら『えぇ!やだぁそうだったのぉ?』私は韓国でも日本人はわかるよ!と思い込んでいたためにショックでした。おばさまが『やだ全然わからなかったわ!』と言うので、私も絶対韓国の人だと思っていたと話しました。
 日本人に会えた嬉しさで私とSさんは引き続き話し込む。『どうして韓国に来られたんですか?』おばさまに訪ねる。すると思わぬ、いやこれが!なのかわかりませんが、韓流スターに恋こがれ、映画のロケ地などを巡るツアー!参加者の方だったのです。いやぁ…まさかこんなところでお目にかかれるとは…。すごいですね!と私&Sさん。今度は、あなたたちはなぜ韓国に?と聞かれたので、今からそこのステージで歌うんです。と言うと驚いていましたが、ぜひ聴いて行ってくださいと言うと、ツアーのバスがもう迎えにくると……。キラキラしていました…。私はそれは残念ですけど、また日本で、と言って自分の名前を名乗り、応援してください!と言いました。その時片方のおばさまが『東京でしかやってないの?私ね長野に住んでるから…』と言いました。私は話途中で『ええぇ!私も長野生まれです!』『ええどこ?!』『更埴市です!今は合併で千曲市です!』……おばさまは確か諏訪と言っていたような気がしますが忘れてしまいました。おばさまたちは絶対応援するわ!日本に帰ったら調べてみるわ!と檄を飛ばしてくれて、そのまま去っていかれました。偶然ってすごいな…と思いながら、ふたりがツアーバスにウキウキしながら乗り込む姿を想像したらなんだかおかしくなって、地球ってせまいのかな……。疑惑……。日が沈みかけ、電話が鳴ったので私とSさんはコーヒーの終わったカップを捨て、ステージのほうへ向かいました。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その12  リポーター熊木

2006.05.23 Tuesday 11:36
 そうこうして撮影は日暮れには終わり、本日の宿はソウルなり!ソ、ウ、ル!韓国に来て、もうどれくらいの時が経ったのでしょう…。長かった…。
 韓国と言えばソウル。果物と言えば梨!野球と言ったらイチロー!くらい私にとってのど真ん中になかなかたどり着けず、色んな意味で鬱憤たまりまくりのこの日々に!日々に!グッバイ、、、、、『おつかれさまでした!』でみんな帰りのお支度開始。さぁ私も着替えよう。いそいそとバスに乗り込み、運転手さんに着替えますぅ(お色気)うっそーん!とまぁ声をかけカーテンをシャ!っと引き、隠れながらに着替え開始!あたしゃグラビアアイドルかい。ツッコミながら、若干の無理を感じる自分。しかしカーテンまで、なにか遠い昔の思い出キムチ。プーンと匂う。服の袖に腕を通しながら、ちらりと見た窓の向こうには、砂の山カンウォンド。さぁバスはいよいよソウルに向かいます。
 とりあえず今日の撮影が終わったと言うことで、これまで山下達郎さんを敬遠してきた人も心よくソレを受け入れ、ここへ来てようやく山下達郎さんイイ歌つくるなぁ〜などと感嘆している気配。なにがあっても関係なかったいつもの様に楽しげな社長の気配。バスも順調に進み、ずいぶん経った頃、外の景色が山並みから街並に変わり、そこからはどんどんビルが見えたり、車の量が増え、カンウォンドというおそろしく何もなかった場所から来た私は、おのぼりさんにでもなったように、ソウルに感激していました。
 川を挟んで向こう側、蜃気楼のように浮かぶ高層ビルは、一瞬手におえなさそうに見えて私の胸はドキドキしていました。おのぼりさんじゃん!いいじゃん!そしてソウル市内に到着。ホテルに着きそうな頃に社長が
『熊木!明日歌う場所通るから見ておけ』と言うので、私は身を乗り出して外を見る。渋谷のミニチュア版109かな。そんな感じのデパート。その前に作られた特設ステージ。明日は私はあそこで歌うのか。
 薄暗くなった街を人がさっそうと入り乱れ歩き、大通り沿いだというのに、反対側には露天が並び、湯気をたてた食べ物たち。ここは本当に不思議なところだ…。誰があんな排気ガス真っ只中で食事できんねん!とりあえずソウルに来ても一人不平を言う私。ホテルはすぐ近くで、韓国ありがとう!事務所のみなさん、社長ありがとう!と言うこれまでの経緯を踏まえて最高にきれいで広い部屋でした。都会っていい!と思うキラキラしたネオン。ソウル。
 この街で明日、私は初めての海外ライブに挑む…。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その11  リポーター熊木

2006.05.11 Thursday 09:59
 いよいよ!今日はカンウォンドに来た本当の目的を果たす(グッバイ、カンウォンド)撮影の日!思えば遠くに来たもんだ…。(あり?)天気はまぁまぁ晴れ。ロビーにはみんなもういて、ここから現地に向かいます。現地と言うのは、今回社長の意向で、韓国の映画『猟奇的な彼女』で使われていた、一本だけ木があるあの丘にしようということになりました。まぁそれがここカンウォンドにあるというわけです。映画を見た人はわかるかもしれませんが、チョンジヒョン演じる彼女と、キョヌー!がタイムカプセルを埋め、再会を誓ったあの木です。私は映画を見た時からチョンジヒョンさんが大好きです。が。まさかここに撮影しに自分が来ることになろうとは…。ただのファン…?ちなみに大好きなシーンは、遠く離れた崖から、彼女が『キョヌーーーー!なんとかかんとかーーー!』って絶叫するところです。至極余談!
 さてだが、ここから、あの木の場所までまたバスだ…。おとなしく乗り込み窓際の一番後ろの席から私はホテルをふりかえる…本当にホテルだったのだろうか…。甚だ疑問。さぁバスが動き出したと言うことは!…、社長も動き出すということで、出ました爆音必殺!山下達郎!(熊木杏里ならまだしも…)流れ始めてからどれくらい時がたったのだろうか。バスの中にはあきらかな険悪なムードが漂い始めたことに気がついたのは私だけではないはずだ。どうすべきだ!みんなの気持ちの代弁者となりうるのは私しかいない。みなの頭の吹き出しマークに『頼む!熊木!お前しか社長は止められない!』が、見える。ふ…と横を見ると、楽しそうに膝にラジカセをしっかりと抱え込んだ社長が座ってる…。ああこの横顔に向かって、私は何を言えよう…。うーーん。困り果て、いよいよ山下さんの歌声もノリにノリ、気まずさ全開になった時!その時だった。勇気あるカメラマンが一声。『うるさいよ…』くるりと振り返りながら、まるでエクソシストのようだったが、天使に違いない。『おぉそうか』と社長はボリュームをしぼった。その姿がちょっと寂しげに見えたのはなぜだろう。
 そうこうして、ようやく社長もラジカセから熊木杏里を流すに至り、(遅い…)これからの撮影に気持ちも傾き始めたころ、現地に到着!おおお!キョヌーーー!例の木の場所は観光地化されていました。『猟奇的な彼女』の…と書かれた看板が建ち、丘までは道がつくられ、きれいな石が敷き詰められていました。しかし…、バスを降りると見渡す限りの大根畑。思わず叫びたくなるような雄大な山々。気持ちも雄大になり、トイレに行きたくなったので私はマネージャーに場所を訪ねると、見事な簡易トイレ。ほほぅ。だがここでは設置してくれた観光協会の人に感謝だ。カチャリと扉を開けるとな…なんじゃこりゃぁーー!おうおうなめとんのかワレーー。詰まってる。ティシュ詰まってる。ついでに私も息詰まってる。トイレ錯乱事件で容疑者は観光客。渋々用を足し、外に出る。手は…手はどこで洗うのじゃ爺や?この手に平和はやって来るのか…爺や…。わなわなしていると、遠くのほうからマネージャーがやって来て、手にはペットボトルの水が。これで洗ってと持ってきてくれました。ありがたい…。
 さて撮影のための準備も整い、いよいよ撮影開始。持って来た衣装に着替え、大根畑の中心で愛を叫ぶ。笑!!…。歌は持ち歌の『あなたに逢いたい』。カメラマンと社長の指示で例の木の横に立ち、準備完了。さぁ!歌うぞ!遠くのほうから、社長が『行くぞー!』と声をあげた。ティンティンティン。曲が流れはじめ、私も歩き始めた。砂利の音が耳に聞こえる。息を吸っていよいよ歌い出しだ!…とその時!ひゅーーーん…。あれ?音が消えた。なにか間違ったのかなと思っていたら向こうから…。『ラジカセ電池きれましたぁー!』社長!しゃちょーーー!誰もがこう言いたかったであろう。
『山下達郎に電池つかいすぎたんだよ…』
 しかしそんなことにくじける社長ではない。一言。『熊木が電池使いすぎたからな』え!いつ!!?  つ づ く
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その10  リポーター熊木

2006.04.23 Sunday 19:14
 動物園を抜け出して、いよいよ私は寝よう!というところまでやってきました。
 部屋に戻ると、まぁキムチな匂い。そうそう、スリッパ左右違うね!これぞ私の部屋であるような気すらする。ふふ…。
 なんだかちょっとハイになってきた私は、ベルサイユ風のドレッサーの前で自分を眺める。ここは韓国…。あぁ日本に帰りたい…。ハイじゃないじゃん…。静まりかえった部屋。私はどうも清潔にうるさいらしい…。韓国に来てからの自分を振り返ってみると多々見られた傾向であるな。そんなことを思いながらも、洋服などもいっさい床には置けず、本来なら心を休めるはずのベットにさえも、不信感をつのらせ、転校生のように心を許せないで荷物の整理をしながら、あと何日韓国だっけ…と考えました。あと3日くらいかな…くらいってどういうことやねん…。
 落ち着かないので何かをしようとして、はっとする。テレビがあるじゃん…。家でもテレビの前だけではアホ面になる私。(ほんとはいつもそう見られているかもしれないけど?)プチっとテレビをつける。うん。そうだそうだ。アニョハセヨ〜!テレビだって急に日本語は話せないよ。はぁ。韓国語の意味なんて、英語よりわからん。しかしこうして言葉を抜きにして絵だけ見ていると、なにも日本と変わらないですね。車のCMもドリカムじゃないだけで、おしゃれだし、シャンプーのCMのお姉さんは美人だし。おかしい気がしてしまうのは、このカンウォンドに、そういう片鱗が一ミリもないからなだけで、世の中はそう変わらないのかもしれないよ。ふ。語るね。今日の私。
 そうだ、今日ここに来る途中、町はもう寂れきっていたにもかかわらず、とある一軒に、スカパーのアンテナのようなものがついていたのを私は見た!お金持ちの家なのかな!電気はきてるんだ…。携帯電話は普及してるのかな…などと、えらく失礼なことを山ほど思ってしまった町なので、そこでいわゆる電子器具のアンテナは意外だったわけです。
 そんなこんなで、持参したジャージを着て、まるでベットに潜む魔物のようにジィーーーっとしながら、テレビを眺める。しばらくすると、韓国語がだんだん金属音のような気がしてきたのです。眠気をどんどん削いでいきながら、それでいて、不快感を感じさせる、お昼も夜も関係なさそうなテンションで、刺激する。だめだ…。ベット魔物のまま発狂しそう。 
 いよいよ韓国語フィーバーに耐えられなくなったので、チャンネルを変えてみた。CNNだ。これだ。もはや韓国がだめならアメリカだ。(若干誤解を生む表現だなと認識あり)ああ。だけど、なんて耳にやさしいエ、イ、ゴ。日本にいたら間違いなく見ないのに、今はとっても好きだよCNN。なんとか眠れそうさ。
 そうして韓国で英語を聞きながら魔物は肩を凝らせながら眠ったそうな…。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その9  リポーター熊木

2006.04.11 Tuesday 13:17
 さぁさぁ大浴場というのはどんな具合か…!韓国で裸の付き合い!さっそく地下に降りてみる。キムチを何年もつけこんだような床の絨毯の匂いにもだいぶ慣れて、すたこらと階段を下ると、あれ…急にゴザが敷いてあるよ。ゴザ…?ここがお風呂の入り口前のロビーか…。
 ふと見ると私のマネージャー… ゲームやってるし。
『なにしてんすか…』
『いやぁ〜…なんかここ古いゲームが置いてあるよ』
 しどろもどろにならなくても…。確かにそれはもう何年も前に日本じゃ更新されて使われなくなったような様子のゲーム機。車のレース系の見た目。なんだかは詳しく寄っては見なかったのでわかりませんが、奇妙キテレツ、ゴザの上にもゲーム。あぁここで新たな難問が…。人の足裏の垢でうっすら黒みがかったゴザの上を、しかもちょっと湿っている面構えのゴザのその上を!裸足で歩かなくてはいけないのか!またしてもヨレヨレで端っこはクルンとなってこっちに向かってきているし…。いやだ…。
『ここは土足じゃだめなんすかね』
『一応みんな靴脱いでありますからね』
 厳しいじゃぁないかマネージャー。見るときっちり靴が並んでおります。むぅ。手強い。というか足強い。仕方ない。さっと脱いで靴下のまま女湯に逃げ込むのだ。
『じゃ、いってきます』
 靴を脱いで、キぃと扉を開けるとああぁ。よかった。なんか見覚えのある浴場。木で編み込まれた床。木のロッカー。意外と広い脱衣所。プウ〜ンと香るお湯の気配。
おばちゃんたち。いたいた!何が…。いややっぱりせっかくだから韓国の人たちと共にお風呂入ってみたいじゃないねぇ。
『ぺらぺ〜りスミダぺらぺらり』
 私は韓国語は、鹿児島弁を聞いているのと同じだとこの時悟る。怒ってるみたいに聞こえる。話口調、声のトーンが。そして空気を引き破るさいのおかまいなし加減が…。(バカにしているわけではありません)どうやらおばちゃんが何人も集まると、にぎやかになるのは日本も韓国も一緒のようです。4、5人のおばちゃんは一斉に私を見て、珍しそうにしてから再びおしゃべりをはじめました。なんだよぅ。私が日本人だってわかったのかい?あんたたちのほうが私からしたらよっぽど物珍しい。一体、そのおなかにはなにが入っていらっしゃるのシャルウィダンス?今からお風呂に入るつもりか上がるつもりかさえ…それよりお風呂だ。
 せっせと脱衣しガラッと戸を開ける。ガラスの向こうは湯の世界。暗い!辛気くさい!なんで明かりがこれしか点いてないのだ!奥に進むと何人かのおばちゃんがちりばめられた、その浴場は、かなり広く、3、4列のシャワー場が並び、タイルでできた…まるでプールのように壁沿いに掘られた殺風景なお風呂がひとつと、真ん中に丸いお風呂、そしてなぜかお湯が張られていない干涸びた浴槽。え…。なんかブ、キ、ミ。そこの空気が、行ったことはないけれど死体洗い場…のような生々しい残響に置かれている気がしました。人が使ったりしていると、どこかあったかい空気がするはずだと思うのですが、このホテルって一体…。
 さてと私は江戸川コナンでもあるまいし推理風に突っ立っていても仕方ないがないのでさっと体を流して、韓国語が浸かっているお湯に入りにゆこう!るるるん!まずは壁沿いのお風呂から!と思ったら水風呂だぁ。やめやめ。ん?と、いうことは真ん中の丸風呂だけか…ちょっと残念。ではいざ!丸風呂なだけに丸く太られたおばちゃんででで〜ん!私も負けじとザザ〜ン!とはいかず、静々…。うう〜ん。気持ちいい湯加減。韓国産のお湯!しーーーーーーん。おお?さっきまでうるさかった人たちは…どこへ?再度日本対韓国。しーーーん。…き…気まずい。ちょいと足を伸ばせばこのおっきいおばちゃんに触れ合ってしまいそうだ。今この丸風呂には私とおばちゃんの二人きり…。
 ふと目を横にやると、向こうの水風呂にまるで波に打ち上げられたオットセイのような姿で、腰掛けるおばちゃんが…。まずい笑いそうだ。我慢だよ。ここで笑ったらただの奇怪な日本人だ。ふぅ〜。リラ〜ックス。肩までつかる。目の前ではおばちゃんが大きな胸を隠すことなく腰から上をひけらかし止まっている…。入浴中のぶたさん…。
はっ!やばい!ここまで想像を絶してしまっては後戻りがきかん!ここは動物園ではない!私は笑いたくない!逃げよう!あやうかった…。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その8  リポーター熊木

2006.04.03 Monday 20:45
 韓国の伝統的な歌を一緒に歌う?そんな異文化交流を、社長は私に経験して欲しいと思ってくれたのでしょう。言葉もわからないのに、いい感じにお酒が入り、酔っぱらいかけたおじさんたちに、どう出るのだ私…。(ついでに私もちょい酔っぱらい)社長たちが見守る中、通訳のファンさんについてきてもらい、いざ交渉。『ぺらぺ〜ら〜』あるおじさんに話しかけるファンさん。  
 熊木的日本語訳『私たちは日本から来ているのですが、韓国のことをもっと知るために、どなたか韓国に伝わる伝統的な歌を歌ってはもらえませんか?』
 驚き笑い出す周りで話を聞いていた、オレンジおばさん、畑仕事風おじさん、ショッキングピンクお母さんら。(韓国7より)ひたすら首をふるおじさん。するとおばさんが、ある一人の畑仕事風のおじさんを指さし、
『ぺらぺ〜ら』。
すると周りからも
『おおお!ぺらぺ〜ら』…なにがなんだかさっぱりわからず、食堂が騒然とする中、ファンさんがやっと私に
『あのおじさんが一番歌がうまいってみんな言ってる』とその畑仕事風おじさんを指さし教えてくれました。しかしその畑おじさん(略して)は、下を向き、まじめそうな雰囲気で首と手を横にふっていました。こちら側ではスタッフさんが小型カメラをまわしていたので、私は、記念におじさんが歌を歌ってくれたらいいなと思い始め、やんや盛り上がっている中、ファンさんに
『どうしてもあなたの歌が聞きたいからちょっとだけでも歌って欲しい!』と訴え、畑おじさんに熱烈コールしてもらいました。
『ぺらぺ〜ら』
 するとおもむろに畑おじさん立ち上がり、前に出て来てくれて、歌い始めてくれました!おおお!会場からは(食堂)手拍子が起き、私も一緒に手を叩きました。嬉しい!言葉はわからないけど、味のある歌声で、ピアノもマイクもない、ただ、飲みの最中だったのに、気持ちが籠っていて、韓国で暮らすこういう人たちの毎日を、かいま見たような気になりました。どことなく寂しい気がする歌でした。でもみな一緒に口ずさんで、楽しげでした。社長が私に
『歌ってもらえてよかったな!』と言いました。私は、人に歌ってくれなんて頼んでおきながら、自分の歌をピアノもマイクもないところで歌うということを悩みます。たまに初対面の人に、
『歌手なら、ちょっとアカペラで歌ってみてよ』と言われますがその時私は言います。CDを聞いてみてください。私は一番伝わるようにしたいだけです。でもあんまりしつこく言われると悔しくなってきていっそここで立ち上がって歌ってみようかと、思うこともあります。だからこの時も歌っていいなぁと思ったけれど、私はこのおじさんとは違うと思い、自ら歌うことはしませんでした。歌手だとも名乗りませんでした。
 宴の時間は過ぎ、みなさんにお礼を言い、私たちは食堂を出ました。みな気さくにファンさんや私たちに笑顔を向けてくれました。
 さて、廊下では、どうやら地下に大浴場があるとかで盛り上がっていました。日本人は風呂でしょう!わけのわからないノリで私は韓国で初めての大浴場に入りに行くことを決めました。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その7  リポーター熊木

2006.03.27 Monday 16:33
 おなかがすいているので、食堂にうかれていきたい気持ちでしたが、本当私は辛いものが食べられないので、韓国に来てから、いたる場所で食事にやられっぱなしでした。なにを頼んでもキムチ。キムチ。キッ、、ムチ!さりげなく、もれなくついてくるキムチ。冷麺の中にも。みそ汁かと思って飲んだら劇的に辛かったことも。ふふ…。 
 足取りは、やや重く一階に降りるともうみんな集まっていました。小あがりの別室の長方形の木製テーブル二つを私たち一行で占領。テーブルの上にはでっかい皿にお肉が並び、てかてかしていました。焼き肉用のホットプレート。ほほう焼き肉ね。プザンでも焼き肉だったし、よかった…。と見るとキムチ。そうそうキムチ。よっこらせと私も座り、よくよくなにが並んでいるのかをチェック。中学の理科の実験で使うような、なんのへんてつもない真っ白なプラスチックの小皿に、子供がままごとしてるような、なにかの葉っぱをつけ込んだようなもの。串にささった小魚のようなもの。うずらの卵の煮付け風なもの。韓国のり。焼き肉以外食べられそうにない、食欲を誘ってくれない見た目!日本はお皿から色見、盛りつけなど、見事なんだなぁと思い、いただきます!
 社長持ち込みの焼酎で乾杯し、さっそく焼き肉を焼く。社長が、『熊木、これは体にいいから食べてみろ』と言って勧めてくれたのは、高麗人参のキムチ。私が『辛いものがだめなので…』と言うと、わざわざ水で少し洗い、辛いのをとってくれました。いいのに…。そんなにしてまでこの高麗人参というのは体にいいのか…と思い、社長の気持ちも有難かったので食べてみる。毛みたいなのがひらひら生えてる…。やだよ。かりり…。おお辛くない!体もよくなりそうでうっへっへ…。焼き肉は、もうタレがつけ込んであって、みょ〜に甘いのでした。韓国では犬も食べると聞いていましたが、こちらが頼まない限り無断では出てこないはず…。なくなるとホテルの人がはさみでジョキジョキお肉を切りにやってきて、私の食欲を削いでいきました。なんで韓国は、お肉も冷麺もはさみで切るんでしょう。工作の時間じゃないんだからしまっておこうよ…。日本でもお肉をはさみで切るところがあるけれど、違和感を感じます。けれど唯一、私が気に入ったのは、ごはんをよそってある器が、鉄なところです!しかも蓋つき。持つとあたたかい!この胸のどきどきは一体なんでしょう。そして鉄のおはし。楽しいな。ちょっとむだに蓋を開けて閉める。あったか〜いな。 

 さて、さんざん焼き肉(のみ)を食べ、満腹になったころ、ホテルに泊まっているらしき、韓国の団体様がやってきて、わいわいしていました。ショッキングピンクのジャージを着たお母さん。畑仕事をしてきたようなおじさん。近くで運動会があって、同じチームにでもなっているんですかとつっこみたくなるようなオレンジ色でジャージを揃えているおばさん集団。しばらくお腹をならしていたら、突如社長が私に『熊木、あの人たちのなかの誰かとお前一緒に歌ってこい』え?!そうなの…?。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その6  リポーター熊木

2006.03.23 Thursday 11:54
 ホテルの中に入るとぷ〜んと何かの匂いが…。24年の年月では嗅いだことのない匂いです。甘いのに辛い、う〜ん。絨毯の上に何日もキムチをこぼしっぱなしにしておいたみたいなどことない匂い。(イメージです)匂いのことはさておいて荷物をおろし、私に与えられた部屋へ。わらわらとスタッフさんたちも部屋へ。エレベーターはないので階段で上がります。

 私は3階。一番端の部屋です。ガチャリ開ける。ベルサイユです。ベットがベルサイユ風ですよ〜。お姫様になろうかな。それまでいっさいシンプルさビジネスさをきめこんでいたこのホテル。ふふと一人うけながら荷物を玄関に置こうと足下を見たら、スリッパが片方ずつ違うのが置いてある…。それは友達の家に置いてあるような、かわいらしい絵柄のスリッパで、よくあるホテル用の殺風景なスリッパではありません。それがすごく不気味さをかもしだしていましたが、きっとスリッパなんだから履ければいいじゃんと思っているのだと私はポジティブシンキングし、親近感に変え、それでも一応きれいに並べてあるあたりにこれまた一人でうけてました。なぜなら私は人におもてなしをする時など、グラスがそれぞれ別々でも何とも思わないので飲めればいいじゃないか派、履ければいいじゃないか派です。私の父も朝起きて来て、靴下を赤と青、(なぜそんな派手な色の靴下を持っているのか…)左右別々のを履いていたので、さすがにおいおいと思い『ねぇ靴下左右違うよ』と言ったら『いいじゃんかぁ』と、なぜかちょっとすね気味に返されたことがありました。そんな左右の違うスリッパを超え、靴を脱いで中に入ったら、すぐ右が洗面所、その奥にそのままシャワーのスペースが。浴槽はないのかぁとふと見渡すと、洗面台の横にかかっているタオル…。これは…。またもや友達の家にかかってそうな、うっすら色付きのタオルで、しかもたたんではおらず、ただひっかけてあるだけで、さっきまで誰か使っていた?と思わせるようなやつれ具合…。このホテルを経営している家族の私物なのではないのか?間違ってこの客室にまぎれこんだのではないのか?そもそもここは本当に客室なのか…それすら疑わしい…。笑えん。清潔は大事です。はぁ…。ん…。さらに悲劇が。石けんが使ってある!ぎゃあああぁあ!一度溶けてまた凝固してる!もうどうでもいい。私がいけないとすら思えてくる。そうして私が凝固していたら、一人のスタッフの方が入り口から現れ、(ドアを開けておいたので)『おもしろいものがあるよ』と言いました。負けじとこの部屋もおもしろいよと言おうとしたら、その人が私の部屋の奥をのぞきこみ『あ。ここは普通のベットだね』と言いました。普通?よもやこの状況では何が普通か判断もつかん。なんだろう…と思いながらスタッフの人に着いて行くと、すでに何人かが集まっている部屋が。仲間のスタッフさんの部屋です。なんだなんだ?部屋をのぞく。

 げっ!げげげ!ベットが丸い!そしてコテコテベルサイユ…ふっふっふ。あーっはっはっは!みな口を揃えて『ラブホテルだよ』。私も大爆笑しました。だってその部屋に割当てられたのが、よりによって男性、年配の凄腕ベテランカメラマンの方なのです。その方を含め、みなユーモアのある人たちだから、それをかなり笑いネタにしていました。『なんで今さら俺がここなんだよ〜』見ると窓際には、カップルで座るようにと、これまたくどいようですが、ベルサイユ。貴族がおほほほとか言いながら茶を飲んでいるようなコテッちゃんな椅子とテーブル(高級感はいっさいない)が添えられていました。私は再び大爆笑。似合わない!そのカメラマンの方には本当に失礼だが、その人の男くさい風貌とベルサイユのメルヘンさが、ちゃんちゃらおかしいのであります。

 さんざん失礼すぎるほど笑い、気をよくした私は、まだ自分のほうが救われているかもしれないと密かに思い部屋に戻りました。窓の外は暗くなり始め、待っていたのは左右の違うスリッパと夕食の時間です…。
リポーター熊木 | - | -

「韓国へ」その5  リポーター熊木

2006.03.19 Sunday 09:15
 しかしパーキングエリアごとに『熊木、トイレはいいか?』と声をかける社長。うーん…眠いけれどトイレも行きたいっちゃ行きたい…。そしてどんなお店があるのか見たい食べたいのぞきたい!という葛藤を何度も繰り返し、時にバスから降り、時に眠り続けました。あるパーキングエリアでは、がちゃがちゃが置いてあり、見るとドラ◯ンボール(ごまかしきれてない?)の悟空そっくりのキャラクターだったり、またあるパーキングエリアでは、食べたら絶対お腹をこわすという、見た目めちゃおいしそうなアイスクリームが売られていたり、また事件的なことで言えば、外で軽食をとっていた社長の肩に、そっとトンボが止まったり…。いや私、長野県生まれで、トンボはほんとによく目にしていましたが自主的にトンボのほうから人間の肩に止まるなんて見たことがありません。社長一言。『ほらな、トンボはわかるんだよ。おれは自然児だから』…。確かに納得。人はいつしか、人であるために不自然になってゆくことが多いのであります。その後社長は通りすがりの犬(女の人が散歩させていた)と意思の疎通を図っていました。しかもほんとに犬がよくなつくなつく。社長はもはや国境も生き物の違いも超えて渡り合える、ステートレス(無国籍)な人間なのかもしれません。

 なんやかんやでいよいよカンウォンドに到着!この日は曇り空でもう日も暮れかかっていたので、撮影はなく、現場を視察し、そのままホテルへ向かうことに。ああでもなぜほんとにそこら中一面の大根畑。かなり山奥だからかわかりませんが、とにかくこんなに大根あったらそりゃ、どこのお店でもキムチがでるわ。
 少し下って町の中です。…寂しい…。人なんか住んでいないのではないかと思わせるガラン堂。砂が舞い、唯一の商店街らしい一本道。正直本当、人ひとりくらいさらわれてもおかしくない雰囲気。小学生の女の子が歩いていましたが、この時まわりには誰もいません。家に着くところをみましたが、ようやくそこで母親と二人に。なんだかほっとして、いよいよバスはホテルへ到着。これがまたスゴいんです。あたりに高いビルはこのホテルだけ。といっても5階建てくらい。けっしてきれいとは言えないあっさりした外観。ホテルにはいっさい見えん。うさぎ?うさぎがいる。しかも一羽。入り口の横に…。小学校で飼育されている感じの10分の1くらいの扱い。小屋。様子…。もぐもぐ大根の葉っぱを食べていました。私はバスを降りて、うさぎを見に行きました。お前も韓国語を話すのか?

 続く…。
リポーター熊木 | - | -